電子ピアノとピアノ
近年はなかなか良くできた電子ピアノが比較的安価に手に入れられます。
使用目的によっては本物のピアノよりも使い勝手が良い事もあります。
少し整理しておきますが、電気を用いて音を出すピアノには大きく分けて2つの方法があります。
一つは、本物のピアノに似た弦とアクションを備えているもので、音量のみを電気的に拡大します。
ピアノに近いタッチを備えていますが、あまり小型化できず、調律も必要です。電源が入っていなくても鍵盤を弾くと小さな音で鳴ります。
もう一つは、音源自体がICチップで記録されており、軽くてコンパクトなもので、調律の必要もありません。
ピアノ以外の楽器の音も出せたりします。こちらは電源が入っていなければ音は出ません。
前者は「電気ピアノ」、後者は「電子ピアノ」またはその構成から「デジタルピアノ」と呼ばれます。
現在、市販されている、電気を用いて音を出すピアノはほぼ全てこの「電子ピアノ」です。対して本来のピアノを「アコースティックピアノ」や「生ピアノ」と呼んだりしますが、ここでは便宜上、「電子ピアノ」と「ピアノ」と呼ぶ事にします。
電子ピアノのメリットは色々あります。
ヘッドフォンで楽しめる。楽器が軽い。調律がいらない。比較的安価。家電店でも買えるなど、まさにピアノを購入するにあたっての悩みのタネがことごとく解決します。
しかし、電子ピアノはピアノではありません。これには2つの理由があります。
一つは鍵盤のタッチです。改良が続けられていますが、本物のアクションを備えていない以上、ピアノと同じタッチは得られません。
もう一つは音色です。現在の電子ピアノはピアノの音をデジタルサンプリング(録音)したものをチップに記憶させ、鍵盤を弾いた瞬間に発音させます。理屈から言えば本物と同じ音が出る気がしますが実はそう簡単ではありません。ピアノの鍵盤は88。そのデータ量は膨大ですので、実際は全鍵盤をサンプリングせず1つのサンプリングデータで3鍵盤ぐらいをカバーしますから、気をつけて聴くと3鍵盤ごとに音色が異なったりします。さらに鍵盤の強弱で変わる音色を全て表現する事も不可能です。
また、ピアノの場合、弾いていない弦もかすかな響きとして音色に加わりますが、和音によってその組み合わせも異なりますので、これも電子ピアノでは再現する事はできません。
そして何より、自分好みのピアノに調整する事ができません。
これらをご理解の上であれば電子ピアノはとても手軽で便利な楽器です。
しかし、中古ピアノであれば電子ピアノよりも安く、本物のピアノを手に入れる事ができます。
Copyright © 2010 Music Gallary fukuoka. All rights reserved.